院生のための算数入門(3) コーシーの関数方程式

[mixi 2007-6-10,再録時に順序変更,末尾削除]

非線形の世の中に,なぜ線形か,という話を別の観点からしたいが,ちょっと重いので,それは(4)にして,パズルっぽい話を先に.

* * *

正比例f(x)= A×xから,線形性(加法性)
 f(x1+x2)=f(x1)+f(x2) (*)
が出るのはよいとして,逆はいえるのだろうか.

(*)をコーシーの関数方程式というそうである.

なんか入試問題にあったような気がするが,GO!

(*)で x1=x2=0とすると
f(0)=f(0)+f(0)=2f(0)
より,f(0)=0

よって任意のxについて
0=f(x+(-x))=f(x)+f(-x)
から
f(x)=-f(x)

(*)で x1=x2=1とすると,
f(2)= f(1)+f(1)= 2f(1)
となる.次に
f(3)= f(2)+f(1)=2f(1)+f(1)=3f(1)
この方針で,自然数nについて
 f(nx)= nf(x)
がいえる.

一方,
f(1)=f(1/2+1/2)= 2f(1/2)
f(1)=f(1/3+2/3)=f(1/3)+f(2/3)=...=3f(1/3)
一般に
f(1)=m f(1/m)
すなわち
f(1/m)=f(1)/m

2つを合体させて
f(n/m)=(n/m) f(1)
となる.

f(1)=Aとおくと,上と最初に示したf(-x)=f(x)より
有理数のxについて,
f(x)=Ax (※)
がいえた.でけた〜

* * *

あとはfが連続関数なら,すべてのxについて※が示されたことになる.

* * *

だが,マニアックで超算数的なのは,このあとである.

連続関数という仮定がないと反例があるのだそうだ.つまり,有理数のxについて,f(x)=Ax まではいえても,xが無理数のときには,必ずしもそうではないような例が作れるらしい.このことは,むかし森毅の本で読んだが,実際の構成が「実解析入門」(猪狩惺,岩波)に出ていることを知った.

証明は再現できないが,(円周上の)ルベーグ測度で長さの定義できない集合がある,という有名なオタク定理と直接に関係していて,ある意味すごいと思われる.